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異国で得た糧と祖国での成功 |
外はまた、ドイツ留学中に「ビールの利尿作用について」というドイツ語の論文を書いている。ミュンヘン大学衛生学研究所で教授に勧められて取り組んだもので、被験者の6人に、1日に10回、ほかに何も飲食せずビール、水、ホップ煮汁、アルコール溶液を摂取してもらうという実験を行った。結果、アルコールに利尿作用があることが判明※。ドイツの学会に発表したところ、大いに喝采をあびたという記録が残っている。
(※現在では、アルコールのほか、ビールに含まれるカリウムにも利尿作用があるといわれています。また、『汎用生薬便覧』〈2000(平成12)年刊〉には、ホップの薬効の一つに利尿があげられています。)
1888(明治21)年、4年間にわたる充実したドイツ留学は終わりを迎えた。帰国後、彼は軍医学校の教官となり日清・日露の大戦にも赴くかたわら、文壇でも第一線で活躍。浪漫主義を唱え、翻訳、評論、小説などを幅広く手がけた。
文豪・ 外が残した作品には、ドイツを舞台にしたものが多い。『舞姫』ではドイツ人女性との恋愛劇が、『文づかひ』では上流階級とも交流したドレスデンでの日々が、『うたかたの記』では勉学に勤しんだミュンヘンを舞台とした話が描かれている。それらの小説世界には、ドイツでの経験と思い出がちりばめられているのだ。
外はドイツ滞在中に多くの友人をつくっているが、その中にウィルヘルム・ロートという人物がいる。ロートは 外が軍医学の知遇を受けた恩人であり、ドイツ滞在中の 外24歳の誕生日、彼にビールジョッキを贈呈した。 外は日本へ帰国したのちも、このジョッキを愛用したという。
生涯ビールを愛飲し続けた 外。筆が止まったときなどは、ロートのジョッキを傾けながら、しばしばドイツの思い出に浸ったのではないだろうか。 |
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ザクセン軍医監ウィルヘルム・ロートからもらった愛用のビールジョッキ。胴体に「この杯にてブドウと大麦の汁をくむものに幸あれ」と刻まれている。( 外記念本郷図書館蔵) |
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