2007年8月24日

キリン食生活文化研究所 レポートVol.1
2006年世界主要国のビール生産量

〜世界のビール総生産量が、当社の統計開始以来、最高の増率を記録。
中国が5年連続世界No.1、ロシアは初の第4位に。
地域別では中南米が北米を抜いて3番目の規模に〜

 キリンホールディングス株式会社(社長 加藤壹康)のキリン食生活文化研究所では、世界各国のビール協会などに対して独自に実施したアンケート調査と最新の海外資料に基づき、2006年の世界主要国および各地域のビール生産量をまとめました。

【トピックス】
  • ■世界の総生産量は約1億7,014万kl(前年比5.8%増)で、東京ドーム約137杯分に相当。統計開始以来、はじめて5%を超え、最高の増率を記録。
  • ■国別では、5年連続で中国(14.7%増)がNo.1。ロシア(9.8%増)はブラジル(第5位、4.1%増)を抜いて初の世界第4位に。
    アジアでは中国のほか、タイ(18.7%増)、ベトナム(30.6%増)が顕著な伸びを示し、日本は0.4%の微減となった。
  • ■地域別では、オセアニアを除くすべての地域で増加。特に成長が著しいアジア(11.3%増)は、構成比を前年比で1.4ポイント拡大し、最大市場のヨーロッパとの差を縮めた。
    また、中南米(6.7%増)は北米を抜いて3番目の規模となった。
  • ※1974年の生産量から統計開始

 2006年の世界のビール総生産量は、1974年の統計開始以来はじめて5%を超え、過去最高の増率(5.8%)を記録しました。前年より約938万kl(大びん633ml換算で約148億本)増の約1億7,014万klとなり、東京ドームをジョッキに見立てると、約137杯分(東京ドーム1杯分は約124万kl、2005年より約7.6杯増)に相当し、世界の総生産量は22年連続で増加を続けていることになります。
 世界経済の回復基調や、世界の年間平均気温が高温(気象庁の統計開始以来3番目の高さ)であったことなどが、増加要因と考えられます。
 ※1891年から統計開始。

1.地域別生産量(表1)

 地域別では、オセアニアを除く全ての地域で対前年増となりました。構成比の高いヨーロッパ(3.6%増)、アジア(11.3%増)、中南米(6.7%増)が高い増率を示し、北米も微増(0.4%増)となりました。
 特にアジアは、国別1位となった中国(14.7%増)や、タイ(18.7%増)、ベトナム(30.6%増)の貢献により、構成比でも1.4ポイント伸ばしています。
 中南米は、ブラジル(4.1%増)やメキシコ(7.7%増)、ベネズエラ(9.1%増)、コロンビア(11.5%増)が牽引し、初めて北米を抜いて3番目の規模となりました。
 また、最大のビール市場であるヨーロッパでは、ドイツ(0.5%減)やイギリス(4.4%減)が減少したものの、近年大幅な増加傾向が続いているロシア(9.8%増)やウクライナ(12.8%)、ルーマニア(14.3%)が牽引し、最大市場のポジションを維持しました。

2.国別生産量(表2)

 昨年5位であったロシアが順位を上げ、初めて4位となりました。また、高い増率を示したタイ(18.7%増)は19位から16位に、ベトナム(30.6%増)は24位から20位と大きく順位を上げました。
 2002年にアメリカ合衆国を抜いて以来5年連続で1位の中国は、2006年も2ケタ台の増加となり、2位のアメリカとの差を1,198.6万klにまで広げて、不動のビール大国へと成長しています。経済の好調などに伴う生活水準の向上や、飲用層が沿岸部からその周辺部に拡大していることなどが要因と考えられます。
 近年急激な伸びを示している注目市場のロシアは、暖冬と個人所得の増加などから、9.8%増と引き続き成長を続けています。また健康志向を背景にウォッカなどのハードリカーからビールなどの低アルコール飲料へのシフトが加速し、今後も市場は拡大していくとみられます。
 その他では、ロシア周辺のウクライナ(12.8%増)、ポーランド(7.3%増)、ルーマニア(14.3%増)や、南米のメキシコ(7.7%増)、ベネズエラ(9.1%増)、コロンビア(11.5%増)が高い増率を示しています。
 日本(0.4%減)は、少子高齢化、嗜好の多様化、酒税改定の影響などにより微減となりました。

3.10年前との比較(表3)

 2006年の世界のビール生産量を10年前と比較すると33.6%増となりました。
 国別では、中国が約2倍(2006年第1位、109%増)、ロシアが約4倍(同第4位、389.2%増)、ウクライナが約4倍(同第12位、386%増)となっており、急速に市場が拡大したことが分かります。また、タイ(同16位 157.7%増)やベトナム(同20位、212%増)でも増加が顕著になっており、経済成長を続けるアジアも注目されます。一方、アメリカ合衆国(2006年第2位 1.8%減)、ドイツ(同第3位 6.2%減)、日本(同第7位 11.3%減)は10年前に比べて減少していることから、市場の成熟化がうかがえます。
 また日本の順位は1989年から第4位を維持してきましたが、その後1995年にブラジル、2002年にロシア、2003年にメキシコに抜かれて以来、第7位を保っています。

  • 注:日本の生産量については、ビール、発泡酒、新ジャンルの合計。
  • 出典:各国ビール協会などへのアンケート調査(当社が実施したもの)
    The Barth Report Hops 2006/2007 (BARTH−HAAS GROUP)