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2008年5月15日

微量エタノールの判別技術の開発について

 キリンホールディングス株式会社(社長 加藤壹康)のフロンティア技術研究所食品安全科学センター(高崎市、所長 水谷悟)は、バイオ燃料などでエタノールに対する世界的な関心が高まる中、東京工業大学大学院と共同で、安定同位体比分析法※1を用いたエタノールの判別技術を簡便化・迅速化することに成功しました。今後、バイオエタノールや合成エタノールのような起源の異なるエタノールを判別する方法として期待されます。また、果汁などエタノールをごく微量に含む食品試料でも分析が可能なことから、当社の原料・食品の品質管理などへの活用を検討していきます。この分析法については、5月16日に第69回分析化学討論会(主催:社団法人日本分析化学会)で発表します。

  • ※1 同位体とは、原子番号(陽子数)が同じで、質量数(陽子と中性子の和)が異なる物質で、化学的性質は同じだが、物理的性質が異なる。安定同位体は、放射能を出さない常に安定な同位体のこと。太陽系では元素ごとに安定同位体の存在比はほぼ一定であることから、例えば植物では光合成機構の違いが炭素元素の同位体比として現れる。

 近年、バイオエタノール※2への注目が高まる中、エタノール自体の品質保証や管理技術の整備はますます重要になっています。これまで、エタノールの原料となった植物の種類や産地を推定する方法としては、試料中のエタノールを純度90%程度になるまで蒸留・精製して水素や炭素の安定同位体比を分析する方法が一般的でしたが、非常に煩雑で時間がかかる上、試料が多量に必要で、複雑な混合物では分析が困難であったため、簡便で迅速な分析手法の開発が求められていました。そこで当社は、より効率的にエタノールを抽出する方法の開発に着手しました。

  • ※2 サトウキビやトウモロコシなどのバイオマスを発酵させ蒸留して生産されるエタノール。石油や天然ガスから合成するエタノールは合成エタノールと呼ぶ。バイオマスエタノールは燃焼により大気中の二酸化炭素量を増やさない点から将来性が期待されている。

 今回の特長として、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法(HS-SPME)※3を用いることにより、従来よりも少ない試料から短時間で効率的にエタノール成分を抽出し、さらにGC-カラム※4により高純度のエタノールを分離したことがあげられます。この方法を用いて、ビールやワイン、焼酎などのアルコール飲料のほか、オレンジジュースやトマトジュースのような、ごく微量にしかエタノールを含まない高粘度で複雑な混合物であっても安定同位体比の分析が可能なことを確認しました。分析時間は、前処理を含めても1時間以内と大幅に短縮され、測定精度についても従来法と同程度を実現しました。本手法では、µmol(マイクロモル)〜nmol(ナノモル)レベルのわずかな濃度の揮発成分であっても測定できることから、今後、エタノール以外のアルコールや揮発性の有機酸などへの適用が期待されます。

  • ※3 Head Space - Solid Phase Micro Extractionの略。液相や吸着剤が固定されたファイバーで目的成分を抽出・濃縮することができる。
  • ※4 GCはGas Chromatographyの略。試料を気化させカラム(管)を通過させると、成分の吸着度によって通過速度が異なるため成分を分離できる。

 当社は、酒類・飲料および食品分野の未来につながる技術を開発するとともに、原料・製品に関する安全性の確認や分析評価の開発を行なっています。その中で、原材料の産地判別・偽和判別技術の開発を通して、お客様の「安全・安心」にお応えする取り組みを強化しています。
 キリングループは「おいしさを笑顔に」をグループスローガンに掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。

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