2008年8月4日

2007-2009年キリングループ修正中期経営計画
KV2015実現に向け、次のステージへ
次期中計のゼロ年度として、グループプレミアムの拡大を目指す

 キリンホールディングス株式会社(社長 加藤壹康)は、「2007-2009年キリングループ中期経営計画」の中間点を迎えるにあたり、一部目標を上方修正するとともに、目標達成に向けた修正計画を策定しました。

「2007-2009年中期経営計画」の骨子

 キリングループは、“攻めの姿勢”とスピード感を持って、従来の延長線ではない飛躍的な成長に向けた取り組みを推進しています。この飛躍的な成長を実現させるために、「事業会社の自律的な成長」「グループ内シナジーによる成長」「大胆な資源配分による成長」の3つの成長パターンを軸に、様々な施策を展開しています。

<2007−2009年中期経営計画の基本方針>

  1. 基盤事業強化と飛躍的な成長の実現
    1. [1] 国内酒類事業の再成長
    2. [2] 綜合飲料グループ戦略の推進
    3. [3] 国際化の推進
    4. [4] 健康・機能性食品事業の展開
    5. [5] 医薬事業の成長加速と独自の強みを生かしたアグリバイオ事業の展開
  2. 企業価値の最大化に向けた財務戦略
  3. 新グループ経営体制による運営
  4. KIRINブランドの価値向上とキリングループCSRの確立と実践

「2007-2009年修正中期経営計画」

 今中計前半は、協和発酵工業社やナショナルフーズ社などへの大型投資を成立させた結果、「大胆な資源配分による成長」を実現させ、売上高と営業利益については、2008年中に前倒しで達成できる見通しとなりました。
 後半は、経営の質的向上を実現することで、残る目標であるROEおよび営業利益率を達成すると同時に、次期中計のゼロ年度としてもとらえ、一足早く新たな課題にも着手し、長期経営構想KV2015のより早い実現を目指します。最重点課題として、基盤となる事業会社の自律的な成長をより磐石なものにするとともに、グループシナジー創出に適したグループ組織体制へと改善します。そして新たなステージに向け、シナジー効果の高い投資も引き続き探索していきます。

【修正中期経営計画における強化ポイント】

  1. 「事業会社の自律的成長」 ⇒ 綜合飲料グループ戦略推進に向けた事業構造改革
  2. 「グループ内シナジーによる成長」 ⇒ 機能強化のためのグループ組織体制の改善
  3. 「大胆な資源配分による成長」 ⇒ 次期中計とあわせ総額3,000億円規模の事業投資

【修正定量目標】

  2009年当初目標 2009年修正目標 差異 2015年
連結売上高(酒税込み) 2兆1,500億円 2兆5,000億円 3,500億円 3兆円
連結売上高(酒税抜き) 1兆7,000億円 2兆1,000億円 4,000億円 2兆5,000億円
営業利益 1,500億円以上 1,750億円 250億円 2,500億円
営業利益率(酒税込み) 7%以上 7%以上 8%以上
営業利益率(酒税抜き) 9%以上 8.3%以上 10%以上
ROE 7%以上 7%以上 10%
海外比率売上高(酒税抜き) 22%程度 26%程度 約30%
  • ※ 2009年修正目標は、将来の戦略投資から生じる損益を含んでいない。メルシャン社および協和発酵キリン社については既公表の中期経営計画に基づく。また、ライオンネイサン社については、業績見込み非開示のため、 2007年度のキリン社連結決算に含まれる外貨建実績に基づく。
  • ※ ROEはのれんなど償却後。

具体的な取り組み

1.「事業会社の自律的成長」〜綜合飲料グループ戦略推進に向けた事業構造改革〜

 キリングループはKV2015において、グローバルな競争環境下で企業価値を高める戦略として、綜合飲料グループ戦略を独自のビジネスモデルとして確立することを目指しています。今中計の後半では、その柱であり、グループ成長基盤を支える国内酒類事業の収益性向上に向けた構造改革と、もう一方の柱としての成長が期待される飲料事業強化に向けた経営資源の投入を実施します。

 KV2015で“飛躍的成長の原動力”と位置づけている飲料事業の成長を、次期中計期間に確実なものとするため、2008年より必要な経営資源投入を開始します。飲料事業の主力会社であるキリンビバレッジ社については、厳しい競争下にある国内飲料市場において安定的な売上と収益確保を実現すると同時に、綜合飲料グループ戦略を推進するために、キリンビール社と多部門にわたる交流人事を実施します。異なる文化や能力を持つ要員の交流により、酒類と飲料の両市場を理解する人材を両社で育成し、両事業の開発から販売に至るまでのバリューチェーンを有機的に融合させます。また、事業の成長を担う新たな商品カテゴリー開発および育成に資源を投入します。
 清涼飲料市場の潜在性が高いアジア・オセアニア市場においては、高い商品開発力と技術力をベースに飲料事業の成長を加速させるとともに、新たな投資を継続的に探索していきます。また、海外においても綜合飲料グループ戦略を推進すべく、まずは中国を中心に酒類と飲料事業でのコラボレーションを展開します。

 グループの成長を支える中核事業であり、人材や開発力まであらゆる資源のジェネレーターとしての役割が期待される国内酒類事業については、少子高齢化や嗜好の多様化の影響がある中、単純な規模の拡大ではなく、技術力を生かしたカテゴリーNO.1戦略をさらに推進することで、ビール・発泡酒・新ジャンル合計でお客様支持率トップを目指します。同時に、抜本的な事業構造改革と不断のコスト削減に努め、利益を重視した経営を展開し、グループ全体の成長を支えます。
 また、キリンビール社はグループのマザービジネスであり、お客様のKIRINブランドイメージの根幹を担うことから、信頼と躍進のブランドとしての価値向上をより意識した活動を推進します。

 医薬事業については、10月から新たにスタートする協和発酵キリン社中期経営計画にのっとり、抗体技術を核とした最先端のバイオテクノロジーを中心にグローバル・スペシャリティファーマを目指します。
 また、健康・機能性カテゴリーについては、一部の機能性食品に限らず、幅広い領域において「健康」を意識した商品へのお客様の期待が高まっており、市場の裾野は拡大しています。この健康・機能性市場へのアプローチを、酒類、飲料、食品に関わる全ての事業会社の成長のための開発軸ととらえ、グループの技術力をもって新たな提案をしていきます。

2.「グループ内シナジーによる成長」〜機能強化のためのグループ組織体制の改善〜

 今中計前半では、飛躍的成長に向けた事業領域の拡張を中心に取り組みました。後半はこれらの経営資源を掛け合わせて生み出す「売上シナジー」と、整理統合することで生み出す「コストシナジー」の創出に注力します。

 これまでもキリンビール社とメルシャン社での協働による「売上シナジー」や、グループ調達による「コストシナジー」を創出してきましたが、大型投資を実現させる中、グループ価値の最大化に向けた事業ポートフォリオの構造改革を実施することで、経営の質的向上を目指します。

 キリンホールディングス社については、現在の業務を、可能な限り各事業会社および機能分担会社に移管することで、グループ間の資源配分や事業ポートフォリオの管理などのグループプレミアム創出業務に特化します。一方、事業会社は、研究開発部門をはじめとした事業と密接に関係する部門を事業内に取り込むことで、技術力や顧客関係力を向上させます。また、グローバルな環境下での競争力を高めるため、新たに「センター・オブ・エクセレンス」の考え方を導入し、一部の専門領域を一つの会社に集中させ、グループ全体のコンピタンス部門として計画的に育成します。
 さらに、生産・物流・研究開発部門において、事業拠点配置のグループ最適化を目指すとともに、業務統合による費用削減や資産の整理、事業ポートフォリオの見直しを継続的に行い、経営の質的向上を実現し、営業利益率など収益性の向上を図ります。

 この売上とコストの両シナジーを計画的に創出するために、2009年からシナジー関連項目を具体的に戦略に組み込むと同時に、事業会社ごとにシナジーの定量目標を設定し、プロセス管理を徹底します。

3.「大胆な資源配分による成長」〜次期中計とあわせ総額3,000億円規模の事業投資〜

 今中計後半では、事業会社の自律的成長と、新たなシナジーの創出による目標達成を最優先課題に取り組みますが、加えて財務の健全性を確保しつつ、飛躍的成長を視野に入れた財務戦略を推進します。成長戦略へ向けては、今中計後半から次期中計にかけて、総額3,000億円程度を備え、既存の中核事業と商品やエリア的にシナジー創出効果が高い、アジア・オセアニアを中心とした飲料および酒類事業への投資を探索していきます。資金調達は、保有資産の流動化と有利子負債の活用によって実現します。

 これらの修正点を中心とした施策に取り組むとともに、引き続きKIRINブランド価値向上に向けた基本的な取り組みを継続することで、修正中期経営計画目標を達成し、KV2015のより早い実現を目指します。

 キリングループは、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案する企業グループとして、お客様の期待に応える様々な取り組みを続けていきます。