持続可能な調達の考え方

「キリングループ持続可能な調達方針」の制定

キリングループは、社会的責任を果たすべく、「キリングループ持続可能な調達方針」を2017年9月に制定、2021年4月に改定し、方針の実現に取り組んでまいります。

「キリングループ持続可能な調達方針」

キリングループは、自身が署名者である国連グローバルコンパクトの定める「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」分野における一連の本質的価値観を支持し、この原則とグループ方針に準拠した5つの取り組みテーマに従って調達活動を行い、世界的視野での持続可能性を高めると共に、企業価値を向上させ、社会への貢献を図ってまいります。

  1. 品質本位
    キリングループの「品質方針」に則り、調達活動において、品質と安全を優先します。
  2. コンプライアンス遵守
    キリングループの「コンプライアンスポリシー」に則り、社会規範、関連する法令およびその精神を遵守し、社会に信頼される良識のある活動を実施します。
  3. 人権尊重
    キリングループの「人権方針」に則り、その考え方を実践し、サプライヤーと共に人権への取り組みを実施します。
  4. 環境保全
    キリングループの「環境方針」に則り、環境の保護、汚染の防止に努め、地球環境に配慮した調達活動を実践します。
  5. サプライヤーとの共存・共栄
    オープンでフェアな調達活動を通じてサプライヤーと長期的な信頼関係を築き、サプライヤーと共に社会課題解決に向けて行動し、共存・共栄を図ります。
  • 常務執行役員
    SCM(生産・物流・調達)戦略
    岩崎 昭良

「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の制定

キリングループはビジネスパートナーであるサプライヤーとともに、社会の要請や期待に応え、事業を通じてさまざまな価値を創出し続けるために、キリングループ持続可能な調達方針のもと、2021年4月にサプライヤーに遵守いただきたいことをまとめた「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」を定めました。当規範は、OECD多国籍企業に関するガイドライン(OECD Guidelines of Multinational Enterprises)、ビジネスと人権に関する国連指導原則(UN Guiding Principles on Business and Human Rights)、国際労働機関の基本条約(Core Conventions of the International Labor Organization【ILO】)、国連グローバルコンパクト10 原則(10 principles of United Nations Global Compact)、女性のエンパワーメント原則(Women’s Empowerment Principles 【WEPs】)などの国際標準を尊重し、キリングループ自身の事業だけでなく、サプライチェーン上流の全ての経路が、継続的に適合することを目指しています。
サプライヤーに対しては、当規範に対する同意・協力を目的とした承諾書の提出を依頼しています。承諾書には、当規範に対する重大な違反行為があった場合や継続的に改善への協力が得られない場合は、キリングループとの取引を停止することを明記しています。
制定にあたって、「持続可能な調達」をテーマに人権の専門家であるNGOやESG専門家と対話を複数回実施し、頂いたご意見をサプライヤー規範に反映させました。

キリングループ持続可能なサプライヤー規範「5つの柱」概要

  1. 安全・安心
    国際標準の考え方を取り入れた品質マネジメントの仕組みを構築し、原材料の安定調達を確保するとともに、調達から製品の研究・開発・製造・販売後に至るまで各国法令およびキリングループ各社の基準を満たすことを保証する。
  2. 人権
    ILO中核的労働基準に基づき、強制労働、児童労働の禁止、公平かつ平等な待遇、結社の自由および団体交渉権を尊重する。さらに、非人道的な扱いおよびハラスメントの禁止、公正な労働時間および賃金、地域コミュニティへの事前の十分な情報に基づく同意を得ること。
  3. 安全衛生・健康
    従業員に対して、安全な労働環境の提供、住宅状況とプライバシー尊重を行う。また、従業員の生命・身体の安全を守るための防災管理を行う。
  4. 環境
    環境に関する認可の取得ならびに国際基準の考え方を取り入れた環境マネジメントの仕組みを構築し、持続可能な生物資源・水質資源・容器包装資源の利用を行う。さらに、キリングループと連携した気候変動への対応や、汚染防止・廃棄物削減を行うこと。
  5. 誠実なビジネス
    誠実なビジネスが行われるよう、CSR推進体制を整備し、不正行為の予防・早期発見を行う。不正行為とは、贈収賄・汚職、不適切な贈答品・接待、腐敗行為、利益相反などを指す。さらに、公平な競争や必要な情報の提供・開示、情報財産の保護と知的財産の尊重を行う。

持続可能な調達 管理体制

キリングループでは、サプライチェーン上の人権課題や環境課題をはじめとする持続可能な調達諸課題への対応を重要な経営課題の1つと認識しており、重要事項や目標・進捗状況は取締役会・グループCSV委員会・グループ ビジネスと人権会議他にて審議・決議されます。この管理体制のもと、「キリングループ持続可能な調達方針」、「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」に則り、経営計画の中で目標を設定し、進捗管理を行うことで、ガバナンスを強化しています。調達リスクはリスクマネジメント体制によって一元管理されており、万が一調達リスクが顕在化した場合には、リスク担当役員の指示のもと、直ちに関連部門が連携して情報の共有、対策の実施、再発防止および他部門でも水平展開を行い、確認と対応を行います。

  • 図:管理体制

サプライヤーのマネジメントについては、キリンホールディングス調達部にグループ全体の調達戦略を担う機能を設置し、グループ会社の調達部門と連携した体制で取り組んでいます。キリンホールディングスで立案された方針・戦略は「グループ調達会議」を通じてグループに伝達され、グループ会社の調達活動において具体的な取組みとして展開されます。

「キリングループ持続可能な調達方針」「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」のもと、各社にて事業特性や各国の法令に合わせた調達基本方針やサプライヤー行動規範を定めています。

  • 図:グループ調達管理体制

また、キリングループではサプライヤーとの相互コミュニケーションを重視しています。取引を行うサプライヤーに対して、取引開始前には、キリングループ持続可能なサプライヤー規範のご説明を行い、チェックリストおよび承諾書を用いて、遵守を求めています。取引開始後はサプライヤーに、定期的に遵守状況をアンケート調査・サプライヤー評価を通じて確認しています。アンケート調査・サプライヤー評価の結果は、サプライヤーにフィードバックされ、リスクに対する取組みが不十分である場合は追加調査を行い、必要に応じて是正依頼あるいは改善支援を行っています。加えて、サプライヤー説明会/研修会などを開催し、キリングループの調達活動・キリングループ持続可能な調達方針・キリングループ持続可能なサプライヤー規範への理解を深めていただいています。また、「キリングループ持続可能な調達方針」に沿った調達活動が行われているかを確認・検証するため、「サプライヤー満足度調査」を行っています。特に改善が必要と思われる項目には、速やかに対応し、サプライヤー様との関係強化を図っています。さらに、サプライヤーのサプライヤーが取引に関する懸念事項を通報できるサプライヤー向けの通報窓口(ホットライン)を整備しています。このような取り組みを通じてPDCAサイクルを回しながら、継続的にサプライヤーと連携し、持続可能な調達を推進していきます。

  • 図:改善依頼や継続した改善活動