[医領域]

世界中の患者さんの笑顔のために、"オンリーワン"の医薬品を開発する

  • 健康
  • 技術力
  • 新薬創出

2020年08月07日

  • 世界中の患者さんの笑顔のために、

CSVコミットメント 治療領域の進化

キリングループは、画期的な新薬を継続的に創出し、治療領域を進化させることを健康分野におけるCSVコミットメントの1つに掲げています。このコミットメントのもと、協和キリンでは「自社創薬による新薬を3品目以上、のべ50カ国以上の国で上市する」という目標の達成を目指しています。
2019年には同社のパーキンソン病治療薬イストラデフィリン(米国製品名:Nourianz」)が、アメリカ食品医薬品局(FDA)の新薬承認を取得しました。同社は、日本国内ではすでにイストラデフィリンを「ノウリアスト」の製品名で2013年5月から販売しており、パーキンソン病治療の新たな選択肢となるこの製品のグローバル展開を加速しています。

パーキンソン病治療の新薬を米国で発売

米国には約100万人のパーキンソン病患者がいます。米国における現在の治療は、レボドパ/カルビドパやその他のドーパミン補助薬によるドーパミンの補充・保存療法が中心です。
アデノシンA2A受容体拮抗薬としてこのたび初めて承認された協和キリンの「Nourianz」の作用機序は、これらとは異なります。新たな作用機序をもつ医薬品の発売は非常に喜ばしいことであり、「Nourianz」は、パーキンソン病治療薬における真のイノベーションだと信じています。
この「Nourianz」を多くの患者さんや医療従事者に知っていただくため、信頼と実績のある患者支援団体と協力して、正しい製品情報と地域社会の発展に役立つ教育プログラムを提供しています。こうした地域社会に対する活動に加えて、患者さんの医療アクセスをサポートし、パーキンソン病治療に用いられる先発医薬品の80%以上を処方している約6,400人の運動障害専門医や神経科医に重点を置いた営業活動に取り組んでいます。
当社は、組織の垣根を越えて協力し合うチームワークを重んじており、グローバルに展開する各拠点・グループ会社が緊密に連携することで、円滑な協力体制を整備しています。米国での「Nourianz」の発売にあたっては、日本におけるこの製品やパーキンソン病の現状について、営業担当、マーケティング担当、メディカル関連の担当からさまざまなことを教わりました。また、複雑なFDAの承認申請手続きを進める中で、米国と日本の開発チームが素晴らしい協力関係にあることがわかりました。

Kyowa Kirin, Inc.
米国コマーシャル部門ヘッド

レン・パオリーロ(Len Paolillo)

2014年に営業部長としてKyowa Kirin,Inc.に入社。現在は米国コマーシャル部門ヘッドを務める。

独自の作用機序をもつ唯一のパーキンソン病治療薬を開発

パーキンソン病では、人の脳内で重要な働きをする神経伝達物質の1つであるドーパミンが減少していることが知られており、そのために一般にパーキンソン病の治療ではこのドーパミンやその役割を補う薬剤が用いられています。しかし病状の進行に伴って薬が効く時間が減る「ウェアリング・オフ」という現象が起きるようになります。
協和キリンのイストラデフィリンは、このウェアリング・オフの改善に高い効果を発揮します。これは脳内でドーパミンの働きを妨げる役割をするアデノシンA2A受容体の働きを抑制することでパーキンソン病の脳内にバランスをもたらす作用機序をもつ世界で唯一の医薬品であり、充実したケミカルライブラリーなど当社の培った研究開発力が生んだ製品です。従来にはない作用機序ということもあり、当局に認められるまでには長い時間がかかりましたが、諦めずに治験を繰り返して、データを積み重ねることで新薬として承認されました。現在では医療現場の認知度も高まり、販売も年間100億円規模まで拡大しています。
米国での承認取得に続き、EUでも承認手続きを進めています。グローバルで約2,400億円のパーキンソン病治療薬市場で、本剤の認知度をさらに広げていくことを目指していきます。

モノセラピーを可能にする次世代治療薬の開発を目指して

当社では現在、KW-6356(開発コード)という新たなパーキンソン病治療薬の開発を進めています。KW-6356はイストラデフィリンと同様にアデノシンA2A受容体に高い親和性を有し同受容体の働きを選択的に阻害する化合物ですが、イストラデフィリンがドーパミン系医薬品との併用でウェアリング・オフの改善に用いられるのに対して、KW-6356には単剤の使用でもパーキンソン病の運動症状を改善できる可能性があります。すでに臨床試験のフェーズⅡ(探索的試験)において、早期段階の患者さんに対する単剤での有効性が確認されています。開発に成功すれば、ドーパミン系医薬品との併用治療として用いられるだけではなく、モノセラピー(単剤での治療)としても治療に使われる可能性を秘めています。
当社では、このほかにも従来にない作用機序で効果を発揮する医薬品の開発プロジェクトが複数進行しています。今後も私たちは「グローバル・スペシャリティファーマ」として医療現場の皆様とともに“オンリーワン”の製品開発を追求します。そして、既存の治療法を大きく変え、患者さんのQOLを飛躍的に高められるような革新的医薬品の創出を目指していきます。

協和キリン株式会社
執行役員 メディカルアフェアーズ部長

佐藤 光男(Mitsuo Sato)

1987年、前身である協和発酵工業(株)入社。以降、免疫学およびアレルギーに関する研究開発の最前線で活躍し、抗体研究所長や研究開発本部長などを歴任。現在はメディカルアフェアーズ部長として事業成長を牽引。

PMD アライアンスについて

協和キリンは北米において、パーキンソン病やその他の運動障害疾患に苦しむ人々に対して、さまざまな情報やつながりの場を提供している非営利組織「PMDアライアンス(米国パーキンソン病・運動障害疾患協会)」の活動に協力しています。PMDアライアンスは、全米各地でパーキンソン病患者のケアパートナーや家族、支援団体、患者支援施設のスタッフに向けたワークショップなどを開催しているほか、療養施設も提供しています。PMDアライアンスは、「病気の前にまず自分」をモットーにして、患者が病気と向き合い、自信をもち、社会とつながることを重視してプログラムやイベントを実施しており、患者さんの治療に関する知識の習得や医師とコミュニケーションをとる際の自信につながっています。

PMDアライアンスからのコメント

PMDアライアンス CEO/公共経営修士

サラ・ジョーンズ氏

パーキンソン病の患者さんやケアパートナーが医師と自信をもって会話できるようになれば、皆が幸せになります。パーキンソン病の治療では、長年にわたり新薬の開発が待ち望まれていました。そのため、従来のパーキンソン病治療薬とは異なり、脳内のアデノシンA2A受容体に作用する「Nourianz」の可能性に大きな期待を寄せています。パーキンソン病の患者さんがこの疾患と「Nourianz」の作用について認知を深めてくれることを願っています。

※所属(内容)は掲載当時のものになります。

関連ストーリー

価値創造モデル

私たちキリングループは、新しい価値の創造を通じて社会課題を解決し、
「よろこびがつなぐ世界」を目指しています。

価値創造モデルは、キリングループの社会と価値を共創し持続的に成長するための仕組みであり、
持続的に循環することで事業成長と社会への価値提供が増幅していく構造を示しています。
この循環をより発展させ続けることで、お客様の幸せに貢献したいと考えています。