2007年9月14日

発表概要

(実験1)マウス肝由来の培養細胞にブナハリ茸より抽出したエキスを添加し、48時間培養。その後、Nrf2の活性化によって発現が上昇する代表的な酵素(キノンレダクターゼ)の活性を測定した。

(結果1)何も添加しなかった群と比べて、ブナハリ茸エキスを加えた群で活性上昇が認められた。

(実験2)マウスの免疫細胞にブナハリ茸エキスを添加して24時間培養。その後、過酸化水素を加えて酸化ストレスを誘導し、2時間後に細胞の生存率を測定した

(結果2)ブナハリ茸エキスを添加した細胞では、何も添加しなかった細胞と比べて細胞の生存率が上昇した。

(実験3)実験1〜2で認められたブナハリ茸エキスの抗酸化関連酵素の誘導作用は、Nrf2活性化を介して起こっている可能性が考えられた。そこで、レポーターアッセイと呼ばれる手法によりNrf2活性化作用を評価した。

※ Nrf2の活性化作用を蛍光色素を持つタンパク質の発現量で測定する方法。活性化作用が高いと蛍光タンパクが多く発現し、結果、蛍光強度として観察ができる。

(結果3)ブナハリ茸エキスを添加した細胞では、何も添加しなかった細胞と比べて、蛍光強度が増加した。このことから、ブナハリ茸エキスにはNrf2を活性化する作用があることが示唆された。

(実験4)マウスを用いて実験1〜3で認められたブナハリ茸エキスの抗酸化・解毒関連酵素の誘導作用が、経口摂取した際に生体内でも認められるかを検証した。6週齢のマウスにブナハリ茸エキスを3日間経口投与し、肝臓と小腸上皮における抗酸化・解毒関連酵素の発現を解析した。

(結果4)ブナハリ茸エキスを投与した群では、水を投与した群と比べて、代表的な抗酸化・解毒関連酵素(グルタチオンSトランスフェラーゼ、キノンレダクターゼ、グルタミン酸システインリガーゼ)の発現上昇が認められたことから、ブナハリ茸エキスは生体内でもNrf2を活性化し、抗酸化・解毒関連酵素の発現を上昇させる作用を持つことが示唆された。