2008年10月22日

キリングループの「緑茶葉の産地・品種判別法」が「日本清涼飲料研究会賞」を受賞
〜グループの技術を結集した研究が、全国清涼飲料協会主催の研究会で最高位を受賞〜

 キリンホールディングス株式会社(社長 加藤壹康)のフロンティア技術研究所食品安全科学センター(高崎市、所長 水谷悟)およびキリンビバレッジ株式会社(社長 齋藤信二)が、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所(所長 望月龍也)とともに開発した「緑茶葉の産地・品種判別法」が、2008年10月22日に、第18回日本清涼飲料研究会(事務局 社団法人 全国清涼飲料工業会)において、最高位の「日本清涼飲料研究会賞」を受賞しました。

 「緑茶葉の産地・品種判別法」は、緑茶の茶葉について、元素組成分析およびDNA分析により科学的かつ客観的に産地および品種を判別できる手法です。近年、食品の原産地表示偽装問題が懸念される中、お客様の食品に対する品質および安全性への高い関心に応える技術開発という点が評価され、今回の受賞となりました。

 農作物については、栽培された土壌の違いがその元素組成に反映されることが知られています。そこで当社は、野菜茶業研究所と共同で緑茶葉試料213点(中国産38点、国内産175点)に対して元素組成を分析し、独自の産地判別法を開発しました。
 まず、緑茶葉試料0.2gを溶液化した後、ICP-MS※1によりアルミニウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛など約30元素の含有量を測定し、213点の分析データのうちから任意に選んだ20点(中国産5点、国内産15点)を検証用のデータとし、残りの193点のデータ(中国産33点、国内産160点)を判別モデル作成用データとしました。このデータ193点をHCA※2(Hierarchical Cluster Analysis)でクラスター分析※3を行なったところ、データが国内産と中国産の2つのグループに分かれることがわかりました。そこで、SIMCA法※4(Soft Independent Modeling of Class Analogy)をもとに国内産と中国産の産地を判別するモデルを作成しました。その判別モデルが正しく原産地を判別できるかの検証として、20点の検証用データを当てはめた結果、中国産5点、国内産15点の全てが一致し、100%の的中率であったことから、産地判別法としての正確さが確認できました。

  • ※1 誘導結合プラズマ質量分析計。多元素同時分析および高感度分析が可能。
  • ※2 クラスター分析の一つ。似ているモノを順番に線で結合し、樹形図を作成することが可能。
  • ※3 特徴が似通ったモノをグループ化する解析方法。この方法により元素組成が似ている茶葉をグループ化することができる。
  • ※4 多変量解析の一手法。判別式を用い、対象とするデータが属するカテゴリーを予測することが可能。

 また、より高度な原料管理を行うため、野菜茶業研究所が開発したDNA分析による茶葉の品種判別法を導入した結果、主要な日本産の生茶葉31品種について品種判別が可能であることがわかりました。日本茶の栽培面積は、その約75%を占める「やぶきた」をはじめとした「ゆたかみどり」、「さやまかおり」、「おくみどり」、「かなやみどり」の主要5品種で約90%を占めることから、この判別法は日本産茶葉の品種判別に有用であると考えられます。

 キリングループは、「おいしさを笑顔に」のグループスローガンを掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。