2011年2月10日

2011年 キリングループ事業方針について
〜グループ全員が目標をやり切り、企業価値のさらなる向上を目指す〜

キリングループは、長期経営構想「キリン・グループ・ビジョン2015」(略称:KV2015)実現に向けた第2ステージである「2010-2012年キリングループ 中期経営計画」の2年目として、2011年のスタートを切りました。

2010年は、“実行と質的拡大”を目指す新たな中計の下、「グループシナジーの創出」「リーン経営の実現」を軸とした経営を着実に実行し、収益性・効率性の向上を図りました。

2011年は、引き続き“質的拡大”に向けた施策を進め、中長期的な自律的成長と収益性向上に向けた取り組みにも着手するとともに、国内外でお客様のニーズに応える新たな価値を提供し、これら計画をグループ全員の力を結集してやり切り、グループのさらなる企業価値向上を目指します。

2011年事業計画

【基本方針】
  1. 1.事業会社の自律的成長によるグループ企業価値向上
    1. (1)綜合飲料グループ戦略の推進
    2. (2)国際化の推進
    3. (3)医薬事業の成長加速
    4. (4)健康・機能性食品事業の展開
  2. 2.グループシナジー創出による成長
  3. 3.ムリ・ムダ・ムラを排除するリーン経営の実現
  4. 4.グループ経営力の強化
  5. 5.社会と共生する企業グループとしてのCSR実践
【定量目標】
  2010年実績 2011年目標 対2010年
連結売上高(酒税込み) 2兆1,778億円 2兆1,400億円 ▲378億円
連結売上高(酒税抜き) 1兆8,352億円 1兆8,100億円 ▲252億円
営業利益 1,516億円 1,520億円 4億円
営業利益率(酒税抜き) 8.3% 8.4% 0.1%
ROE 8.8% 10.5% 1.7%

※ROEはのれんなど償却前。

2011年基本方針に基づく取り組み

1.事業会社の自律的成長によるグループ企業価値向上

(1)綜合飲料グループ戦略の推進

キリングループは、KV2015において、グローバルな競争環境下で企業価値を高める戦略として、酒類事業と飲料事業の連携を拡大する綜合飲料グループ戦略を独自のビジネスモデルとして確立することを目指しています。

国内においては、キリンビール社、メルシャン社、キリンビバレッジ社の事業基盤をさらに磐石なものにするとともに、あらゆるバリューチェーンにおける連携を強化し、グループシナジーを創出していきます。

キリンビール社では、成長カテゴリー、有力ブランドに資源を集中し、ブランド力のさらなる強化を図ります。また、2011年も引き続き新しい商品・カテゴリー・ビジネスモデルにつながる価値創造へ積極的にチャレンジしていきます。さらに、これまで取り組んできた価値営業の進化を目指し2012年1月に営業部門とキリンマーチャンダイジング社を統合したキリンビールマーケティング社を設立し、効率的で強固な地域密着型の営業体制に向けて準備を進めていきます。

メルシャン社では、ワイン事業に経営資源を集中し、重点ブランドを育成し、商品拡売に向けてキリンビール社との販売連携を強化していきます。またライオンネイサン社との協働により、国内ボトリング新ブランド「タティアラ」を導入し、国産・輸入ワイン事業に続く柱として、国内ボトリング事業を推進します。

キリンビバレッジ社では、商品力・営業力の強化、そして昨年成果をあげた収益構造改革に継続して取り組みます。基盤ブランドのさらなる強化と新商品によるカテゴリー創出に取り組み、強いブランド創りを推進し、お客様価値の創造に繋がる価値営業の展開を進め、厳しい競争環境の下、売上拡大と収益性の向上を目指します。

(2)国際化の推進

海外においては、引き続きアジア・オセアニアを中心に事業基盤を強化していきます。

アジアでは、飲料事業において、フレイザー・アンド・ニーヴ社との協働を推進します。生産技術、マーケティング・リサーチ技術の交流を図るとともに、製造拠点の相互活用や商品の共同開発、新たな市場の共同開拓などに取り組み、今後も成長が期待される東南アジアでの飲料事業展開を加速していきます。また、酒類事業では、サンミゲルビール社との連携を推進し、酒類事業基盤の強化とともに、新たなシナジー創出に向けた事業活動を展開します。

中国では、華潤創業有限公司と合弁会社を設立し、キリングループの強みである商品開発力、技術力やリサーチ・マーケティング力と、華潤創業社が有する物流・販売ネットワークなどの強固な事業基盤を融合することでシナジーを創出し、今後急速な成長が見込まれる中国清涼飲料市場において、新たな商品カテゴリーやマーケットへの進出を加速し、同市場におけるリーディングカンパニーとなることを目指します。

オセアニアでは、ライオンネイサン ナショナルフーズ社によるブランド強化を重視した事業経営を通じて、さらなる収益性と効率性の向上に努めます。酒類事業では、プレミアムビールや糖質オフカテゴリーなどへの商品構成シフトを一層進め、飲料事業では、成長性の高いブランドへの集中投資によるブランド強化を推進し、生産拠点の最適化によるシナジーの確実な創出を図ります。

(3)医薬事業の成長加速

医薬事業では、協和発酵キリン社において、グローバル・スペシャリティファーマの実現を目指します。国内では、独自の先進的技術を用いた抗体医薬品を血液がん治療の目的で承認申請を行うとともに、開発候補品の継続的な創出に取り組みます。また、腎領域をはじめとする主力製品および新製品の販売活動を一層強化していきます。海外では、中国を中心とするアジアにおける営業力向上と「アジア開発部」新設による開発力強化、欧米における開発品進捗に応じた販売体制の整備を推進します。

(4)健康・機能性食品事業の展開

健康・機能性食品事業では、健康・機能性食品事業推進プロジェクトと各事業会社の連携により、昨年立ち上げた「キリンの健康プロジェクト キリン プラス-アイ」の活動を強化していきます。協和発酵バイオ社が独自に研究開発し、製造を担う「オルニチン」を使用した商品の育成・拡大を図ります。また、グループの技術力を生かした新たな商品開発により、お客様への提供価値拡大を目指します。さらにキリングループ全体の取り組みとして、「キリンの健康プロジェクト」のお客様への様々なコミュニケーション施策を強化します。これらの活動を通じて、お客様の身近な健康ニーズに応える新たな価値を提供していきます。

2.グループシナジー創出による成長

グループシナジー創出については、グループ横断で機能別に構成されたクロス・カンパニー・チーム主導の下、取り組みを継続し、スピードを加速していきます。国内では、キリンビール社とメルシャン社およびキリンビバレッジ社における営業・マーケティング業務の共同化を通じて、スキル移転やお客様価値の向上を図り、売上シナジーを実現します。グループ調達については、業務標準化や機能統合による生産性向上や共同調達の拡大とともに、グループ全体でCSR調達を推進します。

また、グローバル連携によるシナジー創出を強化し、海外を含む事業会社間での生産技術やマーケティング領域における交流や、共同調達の可能性の検討を進めます。

3.ムリ・ムダ・ムラを排除するリーン経営の実現

コスト競争力強化に向けて、引き続きお客様の価値につながらないムリ・ムダ・ムラの排除の徹底によりリーン経営を推進し、収益性・効率性を高めていきます。グループ各社では、生産・営業体制の最適化などを通じたバリューチェーンの全体構造の見直しやカイゼン活動により、抜本的な収益構造改革を進めます。また、今年より新たに発足した国内グループ各社の間接業務運営新体制の下、業務の統合・標準化を推進します。各事業資産の圧縮、資産流動化については、中計方針に基づき継続して取り組み、経営効率を高めます。

4.グループ経営力の強化

中長期的な自律的成長の促進と収益性向上を実現するため、新たな仕組みの導入や新たなグローバル経営体制の基盤構築を進めていきます。

今後グループ各社において『お客様が求める価値を基軸にブランドをマネジメントする体制』への移行を図ります。お客様が求める価値を的確に把握し、その価値を商品として提供し、価値を実感いただくまでの一連のプロセスを、商品ブランドを軸として管理することでより有効に機能させる仕組みを導入し、効果的な資源配分や迅速なPDCAサイクルの実現を通じて、さらなるブランド価値向上を図ります。

グローバルでの経営体制については、キリンホールディングス・シンガポール社を東南アジア地域統括会社と位置づけ、権限の付与や資源の投入、現地人材の登用などにより体制を強化し、地域に密着したスピーディな事業運営やシナジー創出を推進するとともに、成長機会の探索や投資判断を行っていきます。今後、豪州地域統括会社であるライオンネイサン ナショナルフーズ社と共に海外での綜合飲料グループ戦略推進の中核を担っていきます。

また、中長期での組織能力強化を目指し、グローバル人材の採用・育成・配置を積極的に推進していきます。各種育成プログラムを通じて、海外事業を担う人材の育成を図るとともに、国内外のグループ会社間での人事交流を活発化し、グループの成長を支えていきます。

5.社会と共生する企業グループとしてのCSR実践

キリングループは、「食と健康」の新たなよろこびを提供する企業グループとして、CSRを重要な経営課題ととらえ、持続可能な社会の実現に向け、事業を通じた社会的課題の解決に積極的に取り組むとともに、企業市民としての取り組みを推進していきます。

事業を通じたCSRの取り組みとしては、バリューチェーン全体での環境負荷低減を進めるために、「省資源」「省エネルギー」の取り組みに加え、お客様に実感いただける「環境提案商品」の開発・販売を進め、「低炭素企業グループの実現」を推進するとともに、アルコール飲料の製造・販売を中核事業とするグループの社会的責任として、アルコール度数0.00%のビールテイスト飲料「キリンフリー」の提供を通じた飲酒運転根絶活動の展開や「適正飲酒」を啓発する活動を一層推進していきます。

また、企業市民としてのCSRの取り組みとしては、スポーツ振興支援としてサッカー日本代表を引き続き支援するほか、森林保全活動である水の恵みを守る活動や従業員ボランティア支援などの社会貢献活動を推進していきます。

一方、CSRの基盤であるコンプライアンスの徹底とリスクマネジメントについては、さらなる有効性の向上を図っていきます。

キリングループは「おいしさを笑顔に」をグループスローガンに掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。


  • 【お問い合わせ先】キリンホールディングス株式会社 お客様担当 フリーダイヤル:0120-766-560
    お問い合わせフォーム https://www.kirinholdings.co.jp/customer/
  • 【キリンホールディングス ホームページ】http://www.kirinholdings.co.jp