2012年3月16日

ホップやユーカリに含まれる成分β-ユーデスモールによる冷涼感の受容メカニズムを確認
〜“すぅーっと”した冷涼感は、グループの春の新商品に展開中〜

 キリンホールディングス株式会社(社長 三宅占二)の健康・機能性食品事業推進プロジェクト 食と健康開発研究チーム(横浜市金沢区、チームリーダー 坂元雄二)と協和発酵キリン株式会社(社長 松田譲)は、ホップやユーカリに含まれる香り成分β-ユーデスモールが、冷たさに反応する感覚受容体を刺激するメカニズムを確認しました。この研究成果は、日本農芸化学会2012年度大会で3月24日に発表します。なお、この研究は同大会にてトピックス賞を受賞しました。

 ビール醸造に用いるホップの一種であるヘルスブルッカー種※1は、冷涼感やスパイシー感などの香味を特徴とする品種で、キリングループのビールなどの香味設計で重要な役割を果たしています。この度、冷涼感やスパイシー感をもたらす化合物やメカニズムについて確認しました。

  • ※1 ハーバル・スパイシーな香りが特長の伝統的なアロマホップ

 まず、冷たさに反応する感覚受容体の1つであるヒトTRPA1※2を一過的に発現させた動物細胞にヘルスブルッカー種ホップやユーカリに多く含まれる精油成分β-ユーデスモール※3を添加し、細胞内のカルシウムイオン濃度を測定したところ、β-ユーデスモールの濃度が高いほど上昇が認められました。一方、β-ユーデスモール以外のホップ精油成分ではカルシウムイオン濃度の上昇は認められませんでした。また、細胞内にカルシウムイオンが流入することで細胞膜に電位(膜電流)が発生しますが、動物細胞を用いた電気生理試験によって電流量を測定したところ、同様にβ-ユーデスモールの濃度が高いほど膜電流の量が多く発生しました。以上のことから、β-ユーデスモールが濃度に連動してヒトTRPA1を活性化することが確認されました。

 さらに、実際にヒトによる官能評価を行い、被験者23名が水と2種類の濃度のβ-ユーデスモール入り飲料を摂取し、冷涼感のスコアを比較したところ、β-ユーデスモールの濃度が高いものほど冷涼感を感じることがわかりました。

  • ※2 冷涼感(冷たさ)に反応する受容体(センサー)の1つで、感覚神経の末端にあり、17℃以下の低温になると活性化する。活性化すると、細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇したり、電位の発生が起こる。
  • ※3 ユーカリやヘルスブルッカー種ホップが生合成するテルペン類の一つ。精油成分に多く含まれる。

 これらのことから、ヘルスブルッカー種ホップやユーカリに多く含まれる精油成分β-ユーデスモールが、冷たさに反応する感覚受容体を刺激して冷涼感をもたらすことが明らかになりました。β-ユーデスモールは、新たな香味を提供する素材として飲料をはじめとするキリングループ各社商品へ応用されており、今後の展開にも期待できます。

 キリングループは「おいしさを笑顔に」をグループスローガンに掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。


  • 【お問い合わせ先】キリンホールディングス株式会社 お客様担当 フリーダイヤル:0120-766-560
    お問い合わせフォーム https://www.kirinholdings.co.jp/customer/
  • 【キリンホールディングス ホームページ】http://www.kirinholdings.co.jp